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『ビジネスパーソンのための、あたりまえのつくりかた』を読んだ感想

これから読みたい本シリーズの中で、会社で借りれるものがあったので読んでみた。

この本を読む前は、PRを自己PR的な意味で捉えていて、SNSとかを使った個人の市場価値の上げ方的なことが書いてあるのかと思っていた。

しかし、実際にはPRはパブリックリレーションズのことで、広報活動の考え方を普段の仕事や生き方に活用しようという内容だった。

あたらしいビジネスを浸透させて、世の中をよりよいものにしていくにはどうしたらいいのか、という問いを持っている人にはぜひ読んでみてほしい。

『ビジネスパーソンのための、あたりまえのつくりかた』の概要

「あたりまえ」のつくり方では、あたらしいビジネスやテクノロジーを浸透させるには、合意形成が大事であると語られている。

どんなに世の中のためになるものであっても、使う人や法律、政府、企業など、あらゆる方面から合意を得ないと広まっていかないという。

この「合意形成」をはかるのがPR(パブリックリレーションズ)という活動である。

本書では、この合意形成をつくる考え方を、PRに携わる人だけでなく、すべてのビジネスパーソンが活用できる形で、事例を交えながら解説している。

『ビジネスパーソンのための、あたりまえのつくりかた』を読んでほしいひと

この本は、なにかを広めようとしている人にとって、新たな視点を得られる本だと思う。

私は、仕事でブランディングに関わっており、広告的なマーケティング手法(いかに他社と比べて優れているか)で考えていた。

この本では、違いを見つけることではなく、共通点を見つけることで、社会に向けて「新しいあたりまえ」を浸透させていく(=合意形成)・・・という考え方を学べる。

新しい考えや価値を世の中に発信したい人は、ぜひ一度読んでみてほしい。

『ビジネスパーソンのための、あたりまえのつくりかた』のおもしろポイント

あたりまえは、星座のように現れる

この本の序盤では、新しいあたりまえは、星座のように現れると語られている。

例として、アルコールに対する考え方がある。

これまでの、アルコールにまつわる「あたりまえ」は、

これまでのあたりまえ

  • 飲み会の一杯目はビール
  • 飲めない人にも飲ませる雰囲気がある
  • たくさん飲むことが正義

という考え方だった

近年では、健康志向の高まり、若者のアルコール離れという報道、ハラスメントへの意識の高まり、ノンアルや微アルの台頭で、アルコールに対する「あたりまえ」が随分変わっている。

これからのあたりまえ

  • 一杯目がビールとは限らない
  • 飲めない人には強要しない
  • 飲みすぎない、ノンアルや微アルもある

一つ一つは小さな星だけど、いつの間にか線で繋がり、アルコールの「新しいあたりまえ」が生まれている
この様子を、星座のように現れると表現しているのだ。

広告は違いを見つける、PRは共通点を見つける

概要でも書いたように、PRで大事なのは、さまざまなステークホルダーとの合意形成だ。

そこで重要なのは、共通点を見つけることにある。

PRと混同されがちな「広告」では、いかに他社との違いを見つけるかがポイントとなる。

しかし、違いばかり見つけていては、合意形成を得るのは難しい。

そこで、PRでは「共通点」を見つけることで、ここは握れるよね、という合意を作っていくのだ。

社会の視点を持つ

共通点を見つけるには、社会の視点を持つことが大事である。
社会的な課題とそれに対する解決策を、新しいあたりまえで提示していく必要があるからだ。

この本では、たびたび「社会視点」について言及されている。

社会のなかにいる自分、社会視点で語る商品、社会視点で考える今の「あたりまえ」など⋯。

社会をどうやって捉えて、対話を重ねていくか。
それこそが、PRパーソンに必要な思考である。

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