妄想

将来は海辺のへたれた古民家で、客のこない喫茶店をやっている妄想をしています

際限のない仕事に追われる日々を過ごしていると、急に海とか行きたくなる。
さざなみの音をききながら、なんにも考えずにぼーっとしているのもいい。

将来は海辺の潮風にやられてヘタれてきている古民家を改装して喫茶店でも営みたい。

普段は波の音を聞きながら、誰も使っていないカップをひたすらに拭いたり、誰も使っていないテーブルと椅子をきれいに整えたりしながら過ごしたい。

たまーにふらっとくるお客さんには、ネットで取り寄せたコダワリのカップに、何の変哲もない平凡な味のコーヒーを注いで楽しんでもらうのだ。

SNSもやらず、広告も出さず、申し訳程度の看板だけは備え付ける。
まったく人をあつめる気がない店がいい。

でも一応、外からみて喫茶店だとわかるように、中からは海が見えるように、入口はガラス戸にしておこう。

この店がSNSに見つかって、ちょっとバズったりしたら休業にする。
俺がやりたいのは客のこない喫茶店だから。

でも、たまには美人な女性がやってくることにしよう。
都会の喧騒に疲れ、さざなみの音がききたくなったOLが、たまたま来た海辺の町で俺の喫茶店を見つける。

普段はスマホにかじりつき、PCとお友だちのOLも、この店ではデジタルから離れて平凡な味のコーヒーを飲む。
スマホを一度も取り出すことなく、一時間ほどさざなみの音を音を楽しんで、お会計の事務的な会話だけして帰っていく。

そんなお客さんが2ヶ月に一回くらいくるような店を、将来の俺は営んでいる。

-妄想